ひまわりの涙
「格好良かったか?おれ?」

急に雰囲気を壊すようにちゃかす言い方をしてくる。

また???

「またからかわれた?…もう、司さん!」

少し本気にしてしまった恥ずかしさから部屋の中に入る。

後ろから司の笑い声が聞こえてきた。

司は鞠乃の後ろ姿を笑いながらみていたが、ふと真顔になり心配そうに見つめている。

「コーヒーできました。どうそ」

まだ少し赤い顔で微笑みながらコーヒーをテーブルにおく鞠乃。

ソファーに座って自分を落ち着かせるかのように飲んだ。

司も向かいに座りコーヒーを飲む。

しばらく、沈黙が続いた。

それでもイヤな雰囲気はなく、鞠乃は今日一日の中で一番くつろいでいた。

「大丈夫か?」

いきなりの言葉に司をみると、さっきのおどけた様子はなく真剣な顔をしていた。

あっ、あんなに悩んでたのに司が現れたことで笑って、考えることをしていなかったことに気が付いた。

「もしかして、司さん、私を気遣って?」

「いや、ただ久しぶりにからかってみたかったんだ」

そう言ってニッコリ笑った。
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