ひまわりの涙
司にとってはテラスで言った言葉は本気だった。

春仁が何を言ったのか司は知っていたから余計にだ。

今日来たのも鞠乃が困惑して一人悩むのが目に見えていたし、一人にしたくなかった。

「司さんは知ってるの?お兄さまから聞いてる?」

「さらっとな。詳しくは知らないよ」

本当は全て知っていたが、知らないふりをした。言ってしまえば春仁の計画が台無しになってしまう。

「そう…」

鞠乃はどこまで話せばいいのか分からなかった。

もしかしたら言う必要もないのかもしれない。

それでも少しでも聞いて貰いたい気持ちが勝っていた。

「司さんは知ってる?どうしてお兄さまが結婚を決めたか…」 

司はヤレヤレと感じて心の中で苦笑いをしていた。

自分も大変なのに、春仁の心配。

それと同時に嫉妬心が生まれてきた。

自分のことも見て欲しいと…

そんな感情に気が付いた司は、自分の大人げない気持ちに苛立ちを覚えた。
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