ひまわりの涙
「それは会社が神城家に吸収されたことで、向こうの家が差し出してきたもんじゃないのか?」

鞠乃は信じられないと言う顔をしていた。

「そんな、今の時代にそんな事…仮にそうでも何故お兄さまが了承したの?相手の女性の気持ちは?」

鞠乃は自分のことのように必死だった。

「鞠乃、富裕層には今でもそう言うことはあるんだよ。取引の一種だ。俺だって色んな見合い話が入ってくる。まあ、俺の場合は見合いだが」

えっ?鞠乃は春仁から司の結婚話に移ったことに驚いた。

そうだよね、司さんだって結婚するんだよね…

「司さん、司さんは結婚は?」

何故か恐る恐る聞いていた。

そんな司は呆れたようにため息を付く。

「いつかはするだろうが、今はしないし、相手もいない」

そう言って苦笑いをした。

鞠乃は何故か安堵していた。

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