ひまわりの涙
司の結婚は気になるものの、今はその話は聞きたくなかった。

コーヒーのおかわりを持ってこようと立ち上がったとき目眩に襲われ目の前が真っ白になった。

とっさに司が支えてくれ、床との正面衝突は避けれたものの、息が苦しくなってきた。

「鞠乃!!聞こえるか!?」

司さん?どうしたの?そんなに慌てて…

「はぁ……はあ……」

「鞠乃?聞こえたら目をあけろ!」

司さんの呼びかけにうっすらと鞠乃は目をあけた。

「はあ…つ、か…さ、さん?はぁ……」

司は少し安堵の表情を浮かべたが、直ぐに脈を取りだした。

そんな姿をボーッと見ていた鞠乃は、職業病だと僅かに微笑んだ。

さっきよりは息も楽になってきて、司に大丈夫だと言おうとした時、一気に景色が高くなった。

目の前には司の胸、見上げれば司の厳しい顔。

これって…

鞠乃は司にお姫様抱っこされ、ベッドまで運ばれていた。

そっと下ろされ司は私の顔をのぞき込む。

「前にもあったのか?」

その顔はとても厳しくきちんと答えないといけないと思わせた。

けど、目眩ぐらいしか覚えはなく、司にはそう伝えた。
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