ひまわりの涙
ー2ー
本格的な夏が目の前なのか18時を回っても気温が下がる気配がない。

それどころか昼間の暑さがコンクリートだらけの都会にとどまってる気がする。

すでに夏の格好をして金曜の夜を満喫しようとお洒落してる人や飲みに行こうと話し合ってる人達の合間をぬって自宅への道のりを急ぐ。




小さな出版社の経理として働き出して二年が経った。

給料も生活出来るギリギリの所だったが特別お洒落するわけでも友達と旅行に行くわけでもないので私には十分だった。

最初のうちは同僚たちも誘ってくれたりしてたけど、断り続けているうちに誘いもなくなった。

それに関しては寂しいという気持ちはない。

あまり人と深入りしたつき合いがしたいわけじゃないし、逆に深入りしたくなかった。

いつもの様に淡々と家路につくべきなれた道を歩いていると後ろからだれかに肩を捕まれた。

「!!!!!!」

あまりにビックリしたせいか声もだせず固まるしかできない。

すると頭の上から低い声が降ってきた。

「君、神城 鞠乃さんだよね」
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