ひまわりの涙
ー9ー
ゆっくり目を開けるといつもの天井じゃないことに慌てた。

上体を起こし周りを見渡す。

「あっ…」

そうだった…昨日帰ってきてそのまま…

「司さん!!」

体調が悪くなってそのまま寝てしまったんだ。

部屋には誰もいなかった。

当たり前だけど少し寂しく感じていた。

ベッドから降りて洗面台に向かい顔を洗う。

鏡に写る自分は昨日の朝の自分となんら変わりがない。

変わったのは私の身にこれから起こるであろう事。

「出来るのかなぁ…」

お兄さまの命令に逆らうことは出来ない。

それでなくても迷惑ばかりかけてきたんだから…

二年間お世話になったアパート、職場どうなったんだろう…

時間は6時…

今から支度すれば間に合う。

支度?

何にも持ってきてのことに気が付いた。

服もそのまま寝てしまったため皺になっている。

試しにクローゼットを開けてみるとそこにはブランドの今までの洋服があった。

「本当にそのままだったんだ…」

けどこんな高い服を着ていく訳にはいかない。

アイロンを借りて取りあえずこの服のままアパートに帰ることにした。
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