ひまわりの涙
部屋に戻り、コーヒーを飲みながらさっき考えてたことを鯉淵に話した。

「それでお嬢様は戻られるということですか?…」

「はい。いきなり帰ってくることになったけど、二年間、私の生活があったし、一度戻ってケジメはつけないと…」

私は鯉淵をみた。

鯉淵は少し考えながらコーヒーを飲む。

「話しづらいんですが…もう話してもいいでしょう…」

鯉淵はコーヒーを置き、私を真っ直ぐ見つめてきた。 

ここまでくるともう驚くことはないだろうと先を促した。

「結論から申し上げますと、アパートは昨日のうちに引き払ってます。職場にも連絡済みで相手方も納得されておられます」

「えっ!?」

今なんて?驚きはないと思ってたけど鯉淵の一言一言が胸に刺さる。

だって昨日の今日で…まだ24時間も経ってない。

そんな勝手に…怒りか恐怖か…勝手に手が震えてくる。

「お怒りになるのも当たり前です。しかし話はまだ終わってません」

鯉淵は真っ直ぐに私を見てきた。その目には反発を許さない強さがあった。

「アパートを借りるときの不動産も勤めていた広告会社も春仁様の息がかかってます。どちらの社長もお嬢様の素性はわかってらっしゃいました」

言葉がでなかった。

私一人で生きていたと思ってたのに…全てここでも操られていた…

二年間はいったいなんだったの…
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