ひまわりの涙
おとなしく兄に従うつもりでいた。

けど、私が従うのではなく、既に兄に全てを支配されていた。

それも私がそうするように導かれて…

「お嬢様?」

鯉淵は心配そうに顔をのぞき込んできた。

鯉淵が悪い訳じゃない事も分かってる。でも今の私には目の前にいる鯉淵に当たることしか出来ない。

「鯉淵さんは全てを知って私を見送ったんだよね…そして迎え入れた…こうなることも全てしってたんだよね!」

そう言って立ち上がり部屋を飛び出した。

後ろから鯉淵の呼び止める声が聞こえたけど無視してそのまま外に飛び出した。

分かってる。鯉淵さんが悪い訳じゃない。

お兄さまが考えたこと。

それに踊らされた自分。

涙が溢れて前が見えない。

それでも小さいときから歩き慣れた桜道。

ただ、ただ、歩いていた。

もう何も考えられない。

私はこうして生きていくしかない。

兄の引いたレールの上を黙って…

そんな思いに反発する自分とおとなしく従う自分。

いったいどうしたらいいの?
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