ひまわりの涙
また着せかえ人形になるのかとため息が出そうだった。

今になってあの時の人形の気持ちが分かる。

俯いたまま入ったため室内の様子は分からない。取りあえず挨拶をしてみた。

「よろしくお願いします」

すぐさま返事が返ってくる。

「はいはい。俯いてないで顔をあげる!いい?貴方は今からシンデレラになるのよ?」

ハスキーな声に顔をあげると、目の前には短く刈り上げた髪の毛を真っ赤に染めてる長身の男性?が立っていた。

場所を間違えたかと一気に向きをかえ出て行こうとする。

その腕を力強い手が掴んだ。

「ちょーっと!私がおかまだからってすぐさま出て行こうとするなんて失礼ね!差別よ!!」

差別?!おかま?!

思い切り顔を上げると目の前にその女性?のどアップの顔。

「あっらー。メッチャクチャ美人さん。ドレス指定で一着しかなかったから不安だったけど貴方ならとっても似合うわね」

満足そうに部屋の奥に掛けてあった一着のドレスを持ってきた。

「取りあえず早く着替えて!時間ないから。着替えはそっちね!」

ついたてが脇にあり、そっちを指さす。

早く着替えてここを出たかった私はそそくさとドレスを手に取りついたての奥にはいった。

「何これ…」
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