ひまわりの涙
「鞠乃ちゃん…」

「ちょっと!優子!!太郎って呼ばないで!!私は!…」

「うるさい!!太郎!!あんたは黙ってなさい!!」

太郎?このおかまさん太郎って言うんだ。

太郎?さんは優子さんの前に仁王立ちになって抗議している。

「私は華って名前よ!レディー捕まえて太郎なんてダサい名前呼ばないで!」

「何が華よ!太郎ってのがお似合いよ!そのダサい本名が!!」

私はそんな2人のやり取りを見て今まで緊張していたのが嘘のようになくなっていくのが分かった。

いつの間にか声を出して笑っていたのか2人がポカーンと私を見つめていた。

「鞠乃ちゃん、あなた笑うととっても可愛い」

「えっ?!」

気が付けば2人とも目の前に立っていた。

「そうよ!鞠乃!あなたは笑っていなさい!私の美貌には負けるけど…」

ペシッと音が聞こえたかと思うと頭を押さえてうずくまる太郎…いや、華さんが優子さんの隣にいた。

「こんな馬鹿ほっといていきましょう!」

腕を捕まれ、連行されるようにドアまで連れて行かれた。

去り際後ろを振り向くと悲しげな華さんが目に入ったけど、呪いでもかけられそうな目つきに私は何にも言えずその場を後にした。
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