ひまわりの涙
すかさず優子さんが私に肩をかしてくれ、メイクルームに連れて行ってくれた。


「お疲れさま。鞠乃ちゃん。凄くステキだったわ。そのまま休ませてあげたいんだけど、これから行くところがあるのよ。そろそろお迎えが来るはずだからメイク直して少しでも休んでて」


そう早口で言いながら私のメイクを直していく。


まだ続くんだ…考えるだけでため息が出そうになったのを誤魔化すため水を一口飲んだ。


「あの、優子さん?この後いったいどこへ?」


気になっていたことを聞いてみた。


「今度はあなたのお兄様も一緒よ。あっ、私だけは鞠乃ちゃんの素性知ってるから。春仁とは大学の同級生で、鞠乃ちゃんを任されてるの」


ニッコリ微笑む優子さんに微笑み返すことは出来なかった。


さっき見方と言ったけど、今の一言で崩れて言った。


「鞠乃ちゃん?」


「あっ、大丈夫です。ちょっと、疲れてボーッとしてしまって…」


「鞠乃ちゃん、信じて欲しい。私はあなたの味方。心を閉じないで…」


ここに来て初めて見る優子さんの寂しそうな顔だった。


「優子さん…私…」


「お迎えがきましたよ!」


言い掛けた言葉を呼びにきたスタッフ遮られた。


「さあ、いきましょう」


「はい」


言い掛けた言葉はそのままに出口へと向かっていった。
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