ひまわりの涙
そんな私の言葉は無視して兄は話し始めた。


「まずは俺の婚約発表を正式にする。それに伴って芸能事務所を神城コーポレーションが担い日本の優秀な者達を世界に進出させる手助けをする。その一番手として鞠乃、お前が神城コーポレーションの広告塔をしながら世界で活躍して貰う」


えっ?


「今日は急ぎで撮影をしたと思うが、これからはレッスンを受けて貰う。神城コーポレーション、いや、日本代表として恥ずかしくないようにな。この先のことはお前にかかっている」


なに?


「今日の招待客は世界の実力者達もまざっているからな。その変を考えての振る舞いをしろよ。それから神城家の人間だとは発表しない。素性は謎のままだ。ただひとり、既に会ってると思うが優子は協力者だ。常にお前の側につかせる」


何を言ってるの?


「鞠乃?聞いてるのか?」


聞こえない。聞きたくない。私…


「そっ、そんな、こと、できない」


やっとの思いで口に出した言葉。


「もう動き出した。今更変更はない。あと一時間で始まるからそれまでにしっかり心の準備をしておけ。俺はもう行くが変なことを考えるな」


そう行って部屋を出ていった。



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