ひまわりの涙
足には氷があてがわれ、私の左手には水の入ったグラス。司は右隣。


そしていつの間にか優子さんが来ており、私のメイクを直してくれていた。


「こんなことだろうと思ったわ。来て正解ね。」


ため息を付きながらメイク道具をしまう優子は言葉を続けた。


「鞠乃ちゃん。辛いのも分かるわ。でもね、もう動き出したの。自分が一番分かってるはずよ。メソメソする時間があるなら今の現状に立ち向かいなさい!」


立ち向かう?


「優子。そんな言い方しなくてもいいだう」


司が助け船をだしてくれていたが、私は優子の言葉が引っかかっていた。


動き出した…立ち向かう…


そうだ、私は今まで逃げていた。だからもう逃げないとこの申し入れを引き受けた。どうして忘れていたんだろう。自分が決めた決断。強くなると決めたあの日。


「優子さん、ありがとう」


そうよ、私は私。自分を取り戻さなくては。


自分がやるべき事。


「鞠乃、無理は…」


司の話を途中で遮り、私は大丈夫だと笑って見せた。
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