ひまわりの涙
「これは朝比奈さん、お久しぶりですね。その後はどうですか?」


「ええ、お陰様で。先生の腕がよろしかったのね。すっかり良くなりましたわ。それよりもお誘いした食事はいつ可能なのかしら?」


食事?司さんこんな綺麗な女優さんにまで誘われるんだ…そうだよね、司さん、とっても素敵だし、いまだに独り身なのがおかしいんだもの。


「申し訳ありませんが、先約が沢山ありまして。もしよろしければ私より素敵な殿方をご紹介しますよ」


えっ?誰が見ても朝比奈さん司さんに好意もってるの分かるのに…わざと?


「あら、意地悪ね。私はあなたと一緒がいいのに。まあ、その内お会いしましょう」


華麗な笑い声とともに朝比奈麗子はきびすを返して人混みに紛れていった。


「鞠乃平気か?怪我は?足は大丈夫か?」


直ぐに振り返ると一気にまくし立て足から調べていく。


「司さん!私は平気よ!だから…やめて…」


全身から火が出そうなくらい熱い。きっと真っ赤になってるはず。


「そうはいかないよ。大切な体なんだ。ちゃんチェックはしないと」


いっこうにやめようとしない司に戸惑っていると鏡が近付いてくるのが見えた。
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