ひまわりの涙
その頃鏡明人は鞠乃のアパート下にいた。

帰る振りして後をつけてきていたのだ。

鞠乃の部屋を見上げ携帯で電話をかけた。

「俺です。…はい、渡しました…はい…大丈夫でしょう、では」

簡潔に話し終え闇に溶けいりそうな笑みを浮かべた。

「お嬢様、あなたは来ることになるんでしょうね…警告したのに…」

そうつぶやいて迎えにきた黒塗りの車に乗り込んだ…





封を開け手紙を読んだ鞠乃は驚愕の表情を浮かべていた。

「婚約?…お兄さまが…」

普通に考えたら結婚は当たり前だ。

お兄さまも30歳になる。

もしかしたら大会社の跡継ぎにしては遅いくらいかもしれない。

手紙には案の定必要最低限の事しかかかれてなかった。

”今度結婚することになった。
身内で顔合わせをする。
お前も来い。
日にちは…………………………”

最後に相手の名前も書いてある。

「西条アヤメ…さん…」

分かっては居たけど、本当に簡潔な余計な文がない手紙?メモ書きみたいなその紙をテーブルに置いた。

< 8 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop