ひまわりの涙
鏡の場所まで行くのに何人の人から祝福の言葉をもらい、時間を無駄にしたか…


春仁にとって祝福の言葉などクソ食らえだった。


とにかく早く鏡と話がしたく適当にかわし人垣をかき分けるようにたどり着いた。


「ここじゃユックリ話が出来ない。場所を移すぞ」


早口に告げると春仁は裏口へと向かっていった。





「司さん?そろそろ行かなきゃ。いくら司さんが庇ってくれても…」


限界か…司はそっと腕時計を見ると一時間半は経っている。


「そうだな…行くか」


鞠乃はそそくさと立ち上がると走るように出口へと向かっていく。


「鞠乃!走ると危ないぞ!」


司は鞠乃の腕を掴み歩かせようとする。


「でもだいぶお兄様を待たせてしまった。これ以上お兄様に嫌われたくないの…」


踵を返し走ろうとする鞠乃に司はまたもや腕を掴んだ。


「落ち着け。大丈夫だから…俺を信じろ」


今にも泣き出しそうな顔で司を見上げた。


「でも…」


「ほら、腕を組んで。堂々といこう」


渋々なから鞠乃は司の腕を組んで歩き出した。
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