44チャンネル-呪われた都市伝説-
九時十二分。
俺はタウンページと携帯電話、鉛筆を数本用意した。
俺の家は隣の家と塀一枚で仕切られていて、隣の家の庭には柴犬が一匹飼われている。
この犬は夜中、朝方によく吼えて近所迷惑の種だ。
だが今回ばかりは俺の秘策を成功させる為にも必要不可欠な犬である。
俺は窓のカーテンの隅から外を覗く。そこには道を行ったり来たりを繰り返したり、仕切りに携帯で連絡をとる二人組が見えた。
「完全に怪しいな……勝俣の言うとこの仲間って奴か。玄関の近くに一人と、俺の部屋のちょうど真下に一人か。ふふ……おもしれえ」
俺に残された時間は後少しとなった。
ここで俺は秘策を決行する。
「九時十五分、勝俣の仲間はさすがに俺の部屋の様子までは察知できないだろう。何しろカーテンで遮断してある……隠しカメラを仕掛けられた様子もない」
この部屋だけは誰の目も届かない。
勝俣には俺が44チャンネルを見るということも伝えてある、完璧だ。
「全ては計画通り……」
俺は立ち上がってテレビへと向かっていく。