44チャンネル-呪われた都市伝説-
俺は犬を起こす為にポケットの中に用意しておいた鉛筆を何本か犬の近くへ投げつけた。


すると犬はモソモソと立ち上がり俺の方へと視点を移した。


「そうだ……俺を見ろ。そして吼えるんだ、いつものように吼えていいんだぜ」


案の定興奮した犬は吠え始め、グルグルと庭を歩き出した。


予測通り近くにいた見張り二人が辺りを警戒しはじめる。
だがどうやら俺には気付いていないようだ。


「馬鹿ども、罰の時間だぜ」

その隙をつくように俺はすぐさま塀から道へと飛び降りた。
着地した音に気付いた見張りの一人が俺の姿に気付く。


｢おっ……お前は！｣


｢やあこんばんは。お勤めご苦労！｣


動揺した人間は脳から体への命令伝達速度が劇的に遅くなる、その一瞬の隙を見逃すわけにはいかない。


「はっ！」


俺は顔面目掛けて容赦なく回し飛び蹴りをぶちかます。


「ぐはっ！」

鈍い音と共に見張りの体は空中で半回転、そのまま地面へと倒れていく。


その音に気付いたもう一人がこちらに走ってきていた。
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