44チャンネル-呪われた都市伝説-

そうだ、テレビに集中したい。
とにかく周りを笑い声で満たしたい。
《完全な一人》になることを俺は恐れている。
何故それを恐れているのかも分かっている、だけどそれを信じたくなかった。


「駄目だ。どうしても気が紛れない」


俺はテレビの音量を大きめにして、そのままシャワーを浴びることにした。
でも風呂場に移動しても気分は変わることはなかった。


「なんなんだよ……この感じは……」

風呂場は勿論一人になる、それは分かっていた。
俺は風呂場で恐怖を感じたことなんてなかった。
だからこそ、初めて襲われる、この得体の知れない恐怖に――
霊は存在しない。
都市伝説は所詮噂。
何もかも、人から生まれた幻想。
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