44チャンネル-呪われた都市伝説-
冗談じゃない、こんなことに巻き込まれるのが分かっていたら44チャンネルの話なんて聞きたくなかった。
そう思っても所詮後の祭り、興味本位で聞いたのは俺だ。
それが分かっているだけに杉森を責めることが出来ない。
もう午後11時30分を過ぎている。
会話よりも沈黙が多い電話のはずなのに時間が過ぎるのがとても早く感じる。
「と、とにかく……見てなかったことにしよう」
「え……?」
俺はそう切り出した、もうこれしかない。
汐見はそんなものを見てなかった、そして俺にも何も異常はなかった。
そう自己暗示していないと精神がおかしくなりそうだから。
「今日は44チャンネルの話を聞いて疲れてるんだよ、汐見が見たってのもただの幻!」
「で、でも……」
「幻なんだよ。大丈夫だって……」
「うん……曽野宮君がそういうなら」
渋々だが汐見は納得してくれたみたいだ。
自分にしてもこの話が続いてしまうと精神が持たない、もう全部終わりにしたかった。
「……汐見、寝れるか?もう結構時間も遅いけど」
「多分……大丈夫。頑張って寝てみるね、怖いけど」
と、俺は言ったものの本当はもう少し電話がしたかった。
汐見が好きだからとかそうではない、電話を切った後が怖いだけで――