44チャンネル-呪われた都市伝説-
杉森は何故か他人をフルネームで呼ぶ、最初の頃は不思議な奴だと思っていたが慣れてしまうとそこまで気にすることもなくなった。


(時間の無駄だろう)と、俺は思ったがそれを口にすることはしない。
こうして楽しい話を持ってきてくれた杉森に申し訳ないし、何より野口が人一倍気に入ってしまっているからだ。


杉森の言葉から沈黙が数秒続いた……この沈黙を破ったのは戸田原市が午後5時を知らせるチャイム。
太陽も山の向こうへと落ちかけていた。


「5時だな、そろそろ帰ろうかみんな」


俺は3人にそう伝えて、カバンを手に椅子から立ち上がった。
この時間になると腹も減る、今日の夕飯は何だろうとか面白いテレビ番組はあるかとか色々と考えてしまう。
44チャンネルなんて既に頭の中から消えかけていた。

< 9 / 328 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop