最後に、恋人。
シンデレラ城に近づくと
「・・・・・ミッキーだ!!」
由紀がたくさんの人に囲まれたミッキーを見つけた。
いたよ。 ミッキーいたよ。
やっぱり奇跡だって起きるんだ。
夢の国の力、底知れないな。
「写真撮ってもらおう」
オレの背中から降りると、由紀は携帯を取り出して順番待ちをしている人の列に並んだ。
オレたちの順番が回ってくると、何故か由紀はミッキーの隣にはいかず
「孝之、笑って」
携帯をかまえた。
「・・・・由紀、入んないの??」
「うん」
「は?? 何言って・・・「待ってる人たくさんいるんだから、さっさとして」
この状況で言い合い出来るほど、オレは空気が読めない人間ではなかった。
由紀に言われるまま写真を撮られる。
何の為に由紀をおぶって走ったんだろう。
オレがミッキーと2ショットて・・・・・。
写真を撮り終わると
「うん、良く撮れてる。 孝之の携帯に送るね」
由紀はそれを笑いながら見せてきた。
「・・・・折角ミッキー会えたのになんで??」
「写真撮っても、後で見返す『後で』がない」
由紀には写真を残す意味が、ない。