最後に、恋人。
「孝之、今日何してた??」
「・・・・・」
千沙には今日の事は話していなかった。
別に自分がやっている事はやましい事だとは思っていない。
千沙に話さなかったのは、話がややこしくなるのが嫌だったから。
ただ、こういう話はバレると余計にややこしい。
「・・・・・ディズニーランドで浮気してたそうですね。 ママ友が教えてくれました」
既に寝ている娘を起こさぬ様に、静かに、でも確実に千沙は怒りを放っていた。
「浮気じゃない。 言わなくてごめん。 やましい事じゃないのに、千沙が嫌な思いするんじゃないかと思って言わなかった」
「・・・・・・・」
千沙が無言でオレを見つめる。
「・・・・・今日一緒にいたの、由紀だよ」
「・・・・・由紀って、孝之の元カノ??」
千沙の顔が一気に歪んだ。
「・・・・・由紀、病気なんだって。 死んじゃうんだって。 ・・・・傍に、いてあげたいと思った」
「病人となら浮気していいの??」
「浮気なんかしてない」
傍から見たら、きっと浮気にしか見えない。
でも違う。
由紀が言う『介護』でもなければ、同情でもない。