先生と
この声、この調子にのったような雰囲気…。










「…マヌケって言うなっゲス野郎!」










あの時のゲス野郎だ。












「あ!あたしお邪魔みたいだから、先行ってるね?じゃーね!」

「…え、えええっ⁉なつみっ、ちょっとぉ」












笑顔で手を振りながら走って行くなつみを見送るようにして、あたし達は
二人きりになってしまった。





まず、沈黙を破ったのはゲス野郎だった。












「それにしても、雨ちゃん今日もがっつり来るねw
…てかさ、俺の名前知ってる?ゲス野郎じゃないし」

「し、知らないよ!」

「え、まじで⁉俺の名前知らない子、初めてなんですけど!」









何、それ!みんながみんなあんたの名前知ってるとでも⁉
ま、まあそりゃモテるみたいだし…当たり前か。






…って、何納得しちゃってんの⁉あたし!















「大体、あんたの事なんか、これっぽっちも知らなかったし!」















「…凱」















「…へ?」












「本田凱(がい)」














「本田…君?」

「違う、これからは、凱って呼べ。
あんたら、『これからは、みんな呼び捨てで呼ぶこと!』とか言ってたじゃん?」














こいつ、見てたの⁉信じらんない!














「見てたの⁉こ、このっ、ストーカー!」

「ひどっ!ってか、心配してついてったのにな」

「へ⁉…よ、余計なお世話!あたしは、大丈夫ですよっ!
それにあたしは、あんたの事嫌いだもんっ」

「…」














…ちょ、なんか言いなよっ!





なんか、ひどい事言っちゃった?









い、いや、それはないよね?だっていきなりキスとかするこいつが悪いんだし!
そう、あたしは何も…













グイッ















「チュッ…」














…は⁉









「ちょっ、…やめっあっ…チュ、…ハァッ」


「やぁっ…んっ…チュッ」










すごく強引なキス。前にされた時とはまた違うキス。











前はすごく嫌だったのに、今は素直に受け入れちゃってる。

それに、すごく切なくて悲しいキスだった。










あたし…どうかしてる…?











この人を受け入れちゃってるなんて…おかしいよ。



























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