先生と
「…!大丈夫か…」





先生が、優しく服の袖で涙を拭おうとしてくれた…のに。












「おいっ!」










あたしがさっき精一杯出した声よりも遥かに大きな声が校舎中に響き渡った。














声の主は、さっきのゲス野郎。

























あいつがあたしのもとに駆け寄ってきたかと思ったら、いきなりあたしを抱きしめた。
顔が真っ赤になったあたしの顔を見て、少し面白がってる。












「ちょ、…やめてっ!さっきから…なんなの⁉」







大きくて長い腕を必死に振りはらってキッとこの人を睨みつける。
怒りをむき出しにしたあたしを見るけど、こいつはあたしに謝ろうとも
しない。
一体、何者?








それに、先生も見てるし…。やめて欲しい。
















あたしはクルリと方向転換すると、先生にお礼を言い、一目散に駆け出した。














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