初恋
12月に入り、辺りにはクリスマスのイルミネーションが飾られる頃。
少し黄ばんだポストカードを取り出して眺めていた。
『Merry Christmas! Sara』
たった1行のメッセージを毎年見ていた。
文字を見ただけで思い出す。
ふわふわの笑顔。
テニスをする時の鋭い眼。
『沙羅』って呼ぶ柔らかい声。
抱きしめてくれた暖かい腕。
今はもう声を上げて泣くことはしなくなったけど、それでも思い出すと泣けてくる。
(私は死ぬまでずっとこうして思い出の中の東吾と過ごしていくのだろうか)
やるせない思いに胸が痛み、ため息をついてカードを引き出しにしまった。
その時、携帯が鳴った。
相手は景だった。
このところ忙しいらしく、しばらく連絡が無かった。
「もしもし」
『俺だけど、今いいか?』
「うん、大丈夫」
『明日、久しぶりに一緒に夕飯でも食べに行かないか?』
「明日は多分残業もないだろうからいいけど、どうしたの?珍しい」
『たまには幼馴染みとメシ食うのもいいかと思って』
「忙しい医大生の息抜きにつきあえって?」
『いいだろ?』
私はくすっと笑って「つきあってやるよ」と答えた。
『じゃ、明日また連絡する』
そう言って電話は切れた。
少し黄ばんだポストカードを取り出して眺めていた。
『Merry Christmas! Sara』
たった1行のメッセージを毎年見ていた。
文字を見ただけで思い出す。
ふわふわの笑顔。
テニスをする時の鋭い眼。
『沙羅』って呼ぶ柔らかい声。
抱きしめてくれた暖かい腕。
今はもう声を上げて泣くことはしなくなったけど、それでも思い出すと泣けてくる。
(私は死ぬまでずっとこうして思い出の中の東吾と過ごしていくのだろうか)
やるせない思いに胸が痛み、ため息をついてカードを引き出しにしまった。
その時、携帯が鳴った。
相手は景だった。
このところ忙しいらしく、しばらく連絡が無かった。
「もしもし」
『俺だけど、今いいか?』
「うん、大丈夫」
『明日、久しぶりに一緒に夕飯でも食べに行かないか?』
「明日は多分残業もないだろうからいいけど、どうしたの?珍しい」
『たまには幼馴染みとメシ食うのもいいかと思って』
「忙しい医大生の息抜きにつきあえって?」
『いいだろ?』
私はくすっと笑って「つきあってやるよ」と答えた。
『じゃ、明日また連絡する』
そう言って電話は切れた。