初恋
「『嫌味な』は余計だろ」

そう言って景は私の頭をくしゃっと撫でた。

「まぁ、おばさんとも相談してみろよ。ここまで続いたクサレ縁だ。高校に入ってもお前の面倒見てやりたいしな」
「って事は景も帝星志望なんだ」
「ああ」

まぁ景の成績ならまず余裕で合格圏内だろう。


家の前で景と別れて自分の部屋に入った。

「そろそろ進路の事、真剣に考えないとなぁ・・・」

独り言を零して、ふっとある事が頭をよぎった。

(田宮はどこ受けるんだろ・・・・)

そんな事を思ってる自分が急に恥ずかしくなってきた。

「別に田宮と同じ高校行きたいとかそんなんじゃないけど!」

誰に言い訳するわけじゃないけど、なんとなく田宮の進路が気になる自分を認めたくなくてそんな事をひとりで言って、私は明日のテストの勉強を始めた。



こんな風に意地になって素直な自分になれない私は、この後、田宮と一緒に過ごす時間が残り少ない事を知った時、後悔した。
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