初恋
それはテストの最終日に知った。


朝のHRで担任のひげおやじが言った。

「今配った紙を放課後まで記入してくれ。クラス委員はそれを集めて俺のとこに持ってきてくれ。いいか?」
「「は~い」」

クラス全員の返事を聞いて、ひげおやじは私の方を見て「頼んだぞ、高宮」と言いながら教室から出て行った。
配られたのは進路調査の紙だった。
私は、とりあえず今日行われるテストを終わらす事でいっぱいだった。


テストが終わり、私の元にみんなからの進路が書かれた紙が集まってきた。
私の進路も記入して枚数を確認すると1枚足らなかった。

(もう!誰だよ、出してないやつは!!)

テストから解放され、さっさと由香や麻衣と遊びに行こうとしていた私は、イラつきながら誰が出してないのか確認した。
それは、田宮だった。
あのデートの日以来、田宮と面と向かって話すのは初めてだったので、少し緊張しながらまだ教室に残っていた田宮に近づいていった。

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