初恋
麻衣の言葉に、私は顔をあげ麻衣をじっと見た。

「こんなぐたぐたな私でもいいのかな・・・」

そんな私の言葉に麻衣はふふっと笑って言った。

「ぐたぐたな沙羅もかわいいよ」

私は麻衣の笑顔につられるように、ほっと笑った。
その笑顔を見て、由香が雰囲気を変えるように言った。

「で？沙羅はこれからどうするの？田宮の事」
「どうって・・・・どうもしないよ」
「告白とか・・・しないの？」

麻衣の言葉に首をぶんぶん振った。

「しないよ！そんなの考えもしてない！告白なんてして気まずい思いして残りの時間過ごすより、クラスメートとして楽しい時間を過ごして『あぁ、そういえば高宮とかいうクラスメート居たな』って思い出に残る方がいいよ」

ただでさえ、田宮は誰ともつきあうつもりはないのだ。
告白なんかして自分自身が田宮と何もなかった様に過ごす自信はなかった。

「なんだかあんたとは思えない発想よね。恋をすると人はこうも変わるのか・・・」

由香は気の抜けたようにそう言った。
でも、私は自分の考えを変える気はなかった。

クラスメートとして田宮の記憶に残る

私はそう決めた。
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