初恋
夏の日
夏の日

テストも終わると、学校へ行くことも少なくなり一気に夏休みへと突入した。

当然田宮と顔を合わすこともなくなり、ほっとする様な淋しい様な気分を味わっていた。
しかし、２週間もすると気持ちは一気に「田宮に会いたい」という想いに傾いていった。
用もないのに学校まで行き、なんとなくを装いながらテニスコートを覗きに行ったりもしたが、そこに田宮の姿はなかった。



（なんか・・・一度会いたいとか思っちゃうと無性に会いたくなるもんだな・・・・）

蒸し暑い部屋の中でごろごろとしながら、かける事も出来ないのに携帯を握り締めながらそんな事を思っていた。
ちょうどその時、手の中の携帯がいきなり着信を知らせた。
ドキッとしながら相手を確認すると由香からだった。
ちょっとだけ残念な気持ちになりながら電話に出た。

「もしもし？」
『沙羅？あんた、明日の夜ヒマでしょ？』

おいおい・・・普通ヒマかどうか確認しないか？
私は突っ込みたい気分になった。

「決め付けないでよ・・・ヒマだけどさ」
『じゃあさ、麻衣と３人でお祭り行こうよ』

確か去年は景と一緒に行ったお祭りの事だろう。
今年はさすがに受験生って事もあってお互いお祭りの事は話していなかった。

「あんた、受験生って事忘れてない？」
『じゃああんたは行かないのね？』
「行くけど・・・」
『なら素直にそう言いなよ・・・。じゃ、駅前のコンビニの前に６時集合ね！そうそう、浴衣着てきてね！』
「めんどくさい・・・・」

浴衣なんて動きにくいし、下駄は歩き辛いし、足は痛くなるし、正直勘弁して欲しかった。

『あたしも麻衣も着ていくんだからあんたも着るの！いい？！』
「わかったわよ・・・・」

由香の強引さに渋々了解し、電話を切った。

< 37 / 138 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop