・*不器用な2人*・(2)
おもちゃの剣
「たぶん城島君じゃなくても今のはああなる……」
私が言うと、城島君がホッとしたように肩を下ろす。
「蹴っちゃって申し訳ないです」
城島君はその場に足を組み直して珍しく小声で言う。
梶君は「いいよいいよ」と軽く流しながら、城島君に上履きを渡す。
「でも、膝痛めてるっていうのはあってるよな?」
梶君に聞かれた城島君は「えー…」と顔をしかめながら頷いた。
「でも別に大したことじゃ全然ないよ。
小学生の時も中学の時も、よく筋肉痛とかなってたしさー」
スポーツ障害という言葉を知らないのだろうか。
城島君は梶君の話をどこまでも聞き流していた。
「もっと真面目に聞けって」と梶君が業を煮やしかけた時だ。
教室の扉が開いて、石田君が顔を覗かせた。
「梶、野球部で集まりがあるって浅井が言ってたけど行かなくて大丈夫?」
時計を仰いだ梶君は忘れていたのか「あ……」と呟いて、立ち上がるとほとんど挨拶もなしに教室を出て行ってしまった。
ハイスピードで走って行く梶君を見送ってから、石田君は教室内へと入って来た。
私が言うと、城島君がホッとしたように肩を下ろす。
「蹴っちゃって申し訳ないです」
城島君はその場に足を組み直して珍しく小声で言う。
梶君は「いいよいいよ」と軽く流しながら、城島君に上履きを渡す。
「でも、膝痛めてるっていうのはあってるよな?」
梶君に聞かれた城島君は「えー…」と顔をしかめながら頷いた。
「でも別に大したことじゃ全然ないよ。
小学生の時も中学の時も、よく筋肉痛とかなってたしさー」
スポーツ障害という言葉を知らないのだろうか。
城島君は梶君の話をどこまでも聞き流していた。
「もっと真面目に聞けって」と梶君が業を煮やしかけた時だ。
教室の扉が開いて、石田君が顔を覗かせた。
「梶、野球部で集まりがあるって浅井が言ってたけど行かなくて大丈夫?」
時計を仰いだ梶君は忘れていたのか「あ……」と呟いて、立ち上がるとほとんど挨拶もなしに教室を出て行ってしまった。
ハイスピードで走って行く梶君を見送ってから、石田君は教室内へと入って来た。