・*不器用な2人*・(2)
試験1日目
中間試験初日の朝。
教室で試験勉強をしようと思い、少しだけ早めに学校へ行った。
日直日誌を職員室で受け取り、教室へと向かう。
自分の席へ座り、鞄を机の横に掛け、一息ついた時だった。
先程職員室で挨拶をしたばかりの担任が、教室へと入って来た。
「風野さん、少し話があるんだけど、良いかな?」
他に生徒が誰もいないことを確認しながら担任に言われ、私は何事かと一瞬身構えてしまった。
授業をサボったことか、それとも身分不相応に国立大を志望してしまったことか、それともスカートを折り過ぎたことか……。
最低なシチュエーションまで仮定しつつ、私は担任に招かれて職員室へと引き返した。
「風野さんの隣りの席、清水さんって子が座っているでしょう?」
担任にそう言われ、私は清水という女子の顔をぼんやりと思い浮かべながら頷いた。
「彼女、進級してすぐの学力試験と校内模試で、全部あなたと解答が被っていたのよ」
担任の言葉に、私は背筋がひんやりとした。
「カンニングってことですか……?」
恐る恐る訊ねると、担任もまた気不味そうに頷いた。
「生徒を疑うだなんて嫌な話だし、そもそも清水さんがやっていると決め付けるのも良くない。
ひょっとすると風野さんが清水さんを……という可能性も私たちは考慮したの」
担任がそう事情を話している間に、白衣を着ていない状態の保健医さんが私の方へと寄って来た。
「それでね、様子を見る為に1学期の間、風野さんには仮病を使って保健室で試験を受けてもらうことになったの……」
担任の言葉に、私は慌てて保健医さんへと視線を移す。
「風野さんなら今さら保健室で緊張しないかなと思って。
ほら、私、清水さんと話したこともないし」
いつも通りおっとりと笑って貰え、少しだけ力が抜けた。
「いつものテーブルに、1年・2年・3年・1年……って順番で座ってもらって、時間通りに試験を受けてもらうだけだから。
そういうことで大丈夫かな?」
保健医さんと担任に聞かれ、私はおずおずと頷いた。
教室で試験勉強をしようと思い、少しだけ早めに学校へ行った。
日直日誌を職員室で受け取り、教室へと向かう。
自分の席へ座り、鞄を机の横に掛け、一息ついた時だった。
先程職員室で挨拶をしたばかりの担任が、教室へと入って来た。
「風野さん、少し話があるんだけど、良いかな?」
他に生徒が誰もいないことを確認しながら担任に言われ、私は何事かと一瞬身構えてしまった。
授業をサボったことか、それとも身分不相応に国立大を志望してしまったことか、それともスカートを折り過ぎたことか……。
最低なシチュエーションまで仮定しつつ、私は担任に招かれて職員室へと引き返した。
「風野さんの隣りの席、清水さんって子が座っているでしょう?」
担任にそう言われ、私は清水という女子の顔をぼんやりと思い浮かべながら頷いた。
「彼女、進級してすぐの学力試験と校内模試で、全部あなたと解答が被っていたのよ」
担任の言葉に、私は背筋がひんやりとした。
「カンニングってことですか……?」
恐る恐る訊ねると、担任もまた気不味そうに頷いた。
「生徒を疑うだなんて嫌な話だし、そもそも清水さんがやっていると決め付けるのも良くない。
ひょっとすると風野さんが清水さんを……という可能性も私たちは考慮したの」
担任がそう事情を話している間に、白衣を着ていない状態の保健医さんが私の方へと寄って来た。
「それでね、様子を見る為に1学期の間、風野さんには仮病を使って保健室で試験を受けてもらうことになったの……」
担任の言葉に、私は慌てて保健医さんへと視線を移す。
「風野さんなら今さら保健室で緊張しないかなと思って。
ほら、私、清水さんと話したこともないし」
いつも通りおっとりと笑って貰え、少しだけ力が抜けた。
「いつものテーブルに、1年・2年・3年・1年……って順番で座ってもらって、時間通りに試験を受けてもらうだけだから。
そういうことで大丈夫かな?」
保健医さんと担任に聞かれ、私はおずおずと頷いた。