願いは白い翼に託して
終焉
 とうとう、羽は最後の一枚になった。でも、どんな神経を集中させて耳を澄ませても、声が聞こえない。これでは、いつまで経っても使命を果たせない。

 荒れ果て廃墟と化した村の一角で羽を休める。今日は夕焼けがとても綺麗だ。この最後の一枚の羽が消えたら、こんな夕焼けも、抜けるような青空も、光り輝く星空も、見ることはできないのか。

 僕は今になってようやく世界の美しさに気付いた。木々のざわめき、鳥の鳴き声、変わらない日常…。ありふれて退屈な毎日が、何より美しかった。
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