願いは白い翼に託して
 聞いたことのある声。誰よりも知っている声。

 それは、僕の声だった。

 幸せになりたいと、叫んでいた。届かなくて、虚しく消えていった声。悲痛に満ちた声。でも僕にはわかる。自分が今、幸せだということが。

 温かい何かが僕を包んでいる。抱きしめられているような温もりと安堵。その温かさに溶かされるように、力が抜けていく。

 なんだか、眠くなってきたな。
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