冷酷社長の極上の愛
「え、ちょっと!

離してください」

私はついていくわけにはいかないと、

引っ張る美影を、何とか止めようと

必至に抵抗する。

・・・

でも美影はひるむことなく、

前へ進もうとする。

ズルズルと引っ張られるし、

周りにギャラリーから凝視されるし、

もうどうしていいかわからない。

宗吾は一向に現れないし、

もうこんな事嫌だ!

「宗吾のバカ!何で来ないのよ?!」

…どうにでもなれと、

気が付けば、そんな事を口走っていた。

・・・

「誰がバカだって?」

「・・・え?」

「・・・宗吾」

息を切らせ、そう言ったのは、

額から汗を流した宗吾、その人だった。

・・・

やっと現れた宗吾に、

私の目はみるみる潤んでくる。

「遅くなって悪かったな?

…誰かさんのおかげで、手こずった」
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