続・鉢植右から3番目
「だって、まだ生理も1回だけよ、抜けたのは!」
それに私は元々生理不順な方なのだ。予定から1週間やそこら遅れるなんて割合普通にあることなのだぞ!と、声には出せないから心の中で叫んでみる。
「だから何よ。もう検査出来るほどには時間が経ってるでしょうが!」
あっちも負けずに睨みつけてきた。
ぐっと詰まった。
妊娠?まさか―――――――――――でもでも、確かに覚えは山ほどある。あっちかな~こっちかな~?なんてほどではないにせよ。
「根性決めて、行ってらっしゃい」
奈緒がテーブルの向こうで顎を振る。
私は溜まった唾を飲み込んだ。
自分の人生でこんなことが起こるとは思ってなかった。
そう、確か去年も思ったんだった。
漆原大地に、契約結婚を持ち出された時も。
ムカつきながら婚姻届に判子を押した時も。
漆原大地にひかれつつあった時も。
そして、初めて指輪を貰った時も。
抱かれた夜も、確かそんなことを思っていた。