続・鉢植右から3番目
それから奈緒は、手元のスマホを駆使して私が行けそうな産婦人科を検索してまくっていた。そして妊娠初期のことに関して滔々と喋ったあげく、あんた、ヒールは今日から禁止よ!などと言ったりした。
「・・・親戚のおばちゃんみたいね、奈緒」
苦笑した私がそう言うと、眉毛をきゅっとあげて彼女はのたもうた。
「その子の責任は私にあるのよ!」
・・・・何でよ、一体。首を傾げる私の前で、まだ色々と妊婦の禁止事項を話している。
「とにかく、これでおばさまが喜ぶわね!」
ハッとした。
おおおお~!すっっっかり忘れてた!
頭の中に、この夏の盆のことについて話す二人の母親の姿が浮かび上がった。孫が欲しい!と顔には書いてるけど、出来るだけ言わないように言わないようにしているそのバレバレの姿を。
言葉には出さないようにしているけれど、顔や背中や仕草に出してダダ漏れになっている「孫はまだなのおおおおお~っ!?」の文字を。
やった。やっと封印できるじゃん。
「おお~!」
私がパッと笑顔になると、奈緒が呆れた顔をした。
「あ、うん、まあそれどころじゃなかったのよね、あんた。でも先に病院だからね」
「はいはーい」
「・・・既にお花畑かしら。まあいいわ、とりあえず、あんたの食欲不振は悪阻よ悪阻。だから酷いなら病院で・・・」