続・鉢植右から3番目


 言いながら、スマホをすごい勢いで触っている。彼女も私も妊娠の経験はないもので。

「点滴だってさ。ひどけりゃ入院・・・うわあ~、妊娠も命がけね」

「え、入院?それは勘弁だわ~」

「なら食べなさいよ」

 私はヘラっと笑った。そっかあああ~・・・ちょっとそれは喜びの苦しみね~・・・うふふふふふふふ。

 頭の中では両家の母親に堂々と「妊娠したのよ!」と告げる私の姿が浮かび上がっていた。

 花吹雪も紙ふぶきも舞いまくりで、ゴージャスなクッションに座って高笑いする姿まで思い浮かぶ。

 うひょひょひょひょ~!!ちょっとちょっと、嬉しいじゃないの!

 何と何と、私のお腹の中にはまさかの新しい命が!?いつのだろう・・・ええと、どこから数えればいいのよ、こういう時!?

 一人で没頭しだした私の頭をメニューで殴って、奈緒が言った。

「ハロー?」

「あ、すみません」

 奈緒は苦笑したままで、手をひらひらと振る。

「じゃ、一件落着ね」

「お休みの日に、色々ありがとうございました!」


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