続・鉢植右から3番目
「――――――――それは、お楽しみよ。荷物、着いたら絶対電話してよね」
「・・・何で?」
怪訝な顔をする私ににやりと気持ち悪い笑顔を見せて、彼女は言う。
「漆原の反応が知りたいから。じゃあね!」
意味深な言葉を残したままで、風のように彼女は去って行った。
私はふわふわと体が浮いたような状態で、そのまま座席で見送ったのだった。
・・・渡瀬さん、一体何をくれるって言うんだろう。
いやいやいや、それよりも、それよりも!!
私は他の人に見られないように、テーブルの下でぐっと拳を握った。
よっしゃああああああああ~っ!!!ブラボー、コウノトリ!ありがとよー!!
頭の中では盛大なパレードの始まりだ。
ついに、ついにこの日が、私に来たのだ!
うぇーるかーむ、べいびー!!
つい大声でげらげら笑いそうになって、必死で自分を止めた。
あぶなーい・・・ヤバイ女になるとこだった。
私も鞄を手にとって、店を出る。
鼻歌が出そうな勢いで部屋まで帰った。
まだヤツは帰ってなかったけど、夏の夕日が差し込んでオレンジ色の光で溢れたリビングを見て、不覚にも、涙を零してしまった私だった。
ゆっくりと、まだ何の変化もないお腹を撫でた。