続・鉢植右から3番目
第4章 プレゼントラッシュ
1、いちごと230万
部屋の中で、ヤツが帰るまでに気持ちを落ち着けるのに必死だった。
「まだ、ダメよ」
自分に言い聞かせる。病院に行って、ちゃんと検査をするまでは奈緒以外とはこの話はしないと心に決めた。
奈緒が調べてくれたことによると、精子と出会った卵子が無事に子宮内に着床したとしても、それがきっちり育つかどうかはまだ判らないらしい、とのことだった。
今は妊娠の初期も初期、普通に流れてしまうことだってあるのだぞ、と自分に言い聞かせる。
この時点で周りに公表してしまって後でやっぱりダメでした~、では周囲と自分に与える影響が大きすぎるな、と思ったんだった。
両家の両親、特に母親達はとても楽しみにしているのが判っているだけに、これだけは守らねば、と思った。母子手帳をもらえるようになるまでは、ダレ男にも、両家にも、言わないぞ!
うし!と一人で決意を固める。
そんなことをしていたら、晩ご飯の支度をするのが遅くなってしまった。
気持ち悪さをこらえて台所に立つ。
今朝までとは違うのだ。精神的にショックを受けて食欲がなかっただけではなかった。私には、何としても食べなければならない理由が出来たのだ。
やるぜ。
久しぶりに食事を作ることに集中した。だから、玄関のドアが閉まった音にも気付かなかった。