続・鉢植右から3番目


 そんなわけで、今晩も私の頭はヤツの膝の上。

 リモコンでテレビのスイッチを押してから、下から黙々と読書をする彼を見上げて、たらたら~っと聞く。

「・・・今日は何読んでるの?」

 彼は前髪の下からちらりと私を見下ろして、表紙を私に向ける。

『〇〇殺人事件の裏側』

 ・・・・・・・えらくきな臭いものを読んでらっしゃるのですね。

 それにしてもその位言えっちゅーの。それすらも面倒くさいのか。さすが、この男だ!

 この稀代の面倒臭がりは、高校生の時、他推されて生徒会長に立候補されてしまい、断りを考えたり行動に出たりするのが面倒臭かったから、という理由で生徒会長なんてやった男なのだ。

 実は、小学校から高校まで全て同じ学校に通ったこの男の存在をちゃんと知ったのは、ヤツが生徒会長などというものをしたからなのだ。・・・まあ、言われるまで思い出さなかったけど。

 霞む記憶の中に、たしかーに、この人が生徒会長としてだらだらと壇上で何かを喋っていたのを思い出した。

 私はその時、マトモな受験生だったので、学校行事にはほとんど関心がなく、生徒会なんてあるんだね~状態だったので、彼が生徒会長として何をしたのかは知らない。

 うちの高校は、歴史だけはやたらとある地域では有名な学校だったけど、各委員会やクラブがしっかりしていたから生徒会が表立って何かすることは少なかった・・・と、思う。


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