続・鉢植右から3番目


 先週、定期預金の2つが解約されていた。その金額があわせて230万。日にちは平日だから、ヤツは仕事を抜け出して銀行に行ったのだろう。

 結婚してからは、何か入用の時には私に頼んできた。だけどこれを解約するのに、わざわざ平日に銀行へ行った?

 勿論私は何も聞いてない。

 ・・・これは、ナゾの日曜日の外出と、何か関係があるのだろうか。

 ぼーっとしたままで通帳を鞄にしまう。

 若干眩暈がしていた。

 病院で一気にテンションがあがったのが堪えたのか、解約がわかってしまった謎の230万がそうさせるのか、はたまた暑い外から冷えた銀行内に入ってしまったからか・・・・とにかく、急激な気持ちの悪さに押し流されて、私は思わず口元を手で覆う。

 きっ・・・気持ち、悪い。

 それに何だか手足がザザーッと冷たくなったのを感じた。

「・・・お客様、大丈夫ですか?」

 私の様子に気がついたらしい行員が声をかけてくれる。

 だけどちょっと待ってね状態だった。い、い、今は・・・口をひらけませーん!!

 ぐらりと世界が回った。

 あ。ヤバイ・・・・。


 倒れる前にそう思ったことだけは、やたらとハッキリ覚えている。


 手から鞄が離れたのを感じた。



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