続・鉢植右から3番目

2、都の決意



 目が覚めたら、白い天井が見えた。

 ・・・・ええーっと・・・?

 私はぼーっとしながら、その天井を走る灰色のラインを目でなぞる。

 ・・・ここはどこだろう。ざわざわと物音や話し声が聞こえる。そして、私は今、何をして―――――――――

 左腕に痛みが感じてゆっくりとそっちを見ると、点滴が見えた。どうやら私は点滴を打っている最中らしい。

 と、いうことは。

 改めて自分の置かれている環境を見回した。


 ここは、病院だ。


 ベッドの横、窓際に置かれた椅子に、夫が座っていた。・・・というよりも。

「・・・寝てるし」

 私の小さな声が病室に広がる。カーテンで区切られている向こう側には何かの気配がするから、どうやらここは複数の患者が一緒に過ごす大部屋なのだろう。

 窓際のベッドの周りをカーテンで区切られたその小さな空間に、ダレ男がいて、ヤツは椅子の上で眠っていた。

 本当に、どこででも寝る男だな~。

 今は夕方くらいだろうか。真夏の強烈な太陽の光はさすがに少しは弱まって、オレンジ色を窓の隙間から入れている。

 黒髪をそのオレンジ色に染めて、ヤツはすやすやと眠っている。

 私はその姿をじっと見た。


< 115 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop