続・鉢植右から3番目
振り返って、頷いた。
「しばらく目を覚まさないでしょうって医者が行ったから、席を外してる」
「ふーん。冴子母さんも来てるの、もしかして?」
私の質問にヤツは苦笑した。やっぱり来たのか、恐るべし、ママゴンズ。
「母親同士でお茶してるらしい。盛り上がってるぞ、多分」
そこで、ハッとした。そうだ、私は言わなきゃならないことがたくさん―――――
「ねえ、私・・・」
うん?と私を見るヤツを見上げた。一瞬で口の中が乾いた。やだ、私ったら、緊張してる・・・・。げーろげろ。そんなキャラじゃないでしょーが。
何度か瞬きをして、一気に言った。
「私―――――――妊娠したみたいなの」
ヤツはうん、と頷いた。簡単に、アッサリと。そしていつもの無表情で言った。
「知ってる」
「――――――――あん?」
今度は遠慮なくばたばたと瞬きをしてやった。
手榴弾を投げたつもりが、その前に自分から地雷を踏んで吹き飛んでしまったような驚きだった。
え、ええ??知ってる?知ってる、だとうっ!?ちょっと待ってよなんで知ってるの!?
さっきの私の緊張を返せ!なんであんたはそんなに淡白なんだ!寝たままなのを忘れて、思わず噛み付きそうになる。
でもそこで気付いた。ああ、そうか、そりゃ病院に運ばれたんだから、医者に言われたのか――――――――
口をポカーンと開けたままで一人忙しく熟考する私をいつもの無表情で見て、至って普通の調子でダレ男は言う。
「だからいちご、あげたでしょ」
「え?」