続・鉢植右から3番目
ヤツのだらだら~とした言葉に、声がひっくり返った。いちご?それって私の誕生日前夜の話でしょ?
つい起き上がろうとして、腕についた点滴の管に引っ張られる。ああ、もう!邪魔だよ点滴!
ヤツが身を乗り出して、ナースコールを押した。
「先に、看護師呼ぶぞ。目が覚めたらって言われてた」
「あ?ああ、はい・・・」
って、じゃああんた寝てたらダメでしょうが!突っ込むのは口の中で止めておいたけど。
私ったら優しい。
看護師さんがきてカーテンを開けるまで、私はひたすらヤツの言葉を考えていた。
結局、今晩は寝ていきなさいってなった。
帰れると思っていた私は仏頂面でそれをベッドで聞いていた。
「仕方ないでしょ、あんた色んな人に迷惑かけたんだから」
うちの母親が仁王立ちになってベッドの横から言う。
でもいつもの迫力はなかった。
それは、両家の母親に揃って妊娠がバレたからだ。私が倒れたと警察から電話があって、血相変えて両家の母親二人で駆けつけた時、医者に聞かれたらしい。
娘さん、妊娠されてませんか、と。
きっとうちの母は、見事なハニワ顔だったに違いない。晴天の霹靂と言うやつだ。
そして母は勝手に娘の財布を漁り、今日作ったばかりの産院の診察券を発見したのだ。