続・鉢植右から3番目


 だけど一応生徒組織の代表なわけだから、何かと行事もあるはずだし、と思って、結婚してから一度『生徒会長をするのは面倒臭くなかったのか?』と聞いたのだ。

 するといつもの淡々とした調子で、『いつも部屋で寝てただけだから』という答えが返って来たのだ。

「部屋?」

「生徒会室。全部、他の人たちがやってくれたから」

「・・・・・・・」

 そうですか、だった。

 存在しただけ、という生徒会長だったらしい。

 とにかく、このだらだらとした男、身長は高くて仕事柄体付きもがっしりしている無表情の男は、正真正銘、私の夫なのだ。

 未だに驚くべきことだけど。

 とても深い愛情に満ち溢れた結婚生活ってわけじゃあない。

 だけども、独身の時に不倫までしていてボロボロだった私が望むには、贅沢すぎるほどの毎日を過ごしている。

 だって、彼は私と一緒にいてくれる。

 そしてたまにだけど、笑ってこっちをみてくれる。


 私はぼんやりとした幸せの中に浸っていた。







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