続・鉢植右から3番目


 さっき、ダレ男が言った「盛り上がってるぞ」というのは、私の妊娠に関してだったらしい。

 初孫だあああああ~!!と勝手に母親二人で盛り上がり、性別から名前の話まで飛びまくって興奮していたんだそうな。

 だから、今私に安静を言い聞かせながら、その母の口元は緩んでいる。

 ・・・・若干、気持ち悪いぜ。

「判りました。気をつけます。どうぞお帰りください」

 私がぶっすーとそう言うと、更に何か言いかけた母親を冴子母さんが引きとめた。

「大地、あんたはもうしばらく都ちゃんの話し相手になっていくのよ!」
 
 自分の息子にそう厳命して、今晩は美味しいものでも食べましょう!と二人でスキップしそうな勢いで帰って行った。

 喧しくてすみません、と私は誰ともになく頭を下げる。

 元通りにカーテンを引いて、ヤツが椅子に戻ってきた。

 私は早速身を乗り出す。

「ねえねえ、いつ気がついたの?!私、誕生日の前日に始めて可能性に思い当たったんだけど!?」

 ヤツは座りながら、うん?と怪訝な顔をした。

「え、だってあんなに判りやすかったのに?」

「ええ!?どこが、どの辺りが!?」

 このダレ男に判って私に判らないことなど、いやあそりゃ沢山あるかもしれないけど、でもだって、私の体のことでしょ!?私は目をカッと見開いて、気持ちヤツに詰め寄った(でもベッドから降りれないこのもどかしさ)。


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