続・鉢植右から3番目


 まだ笑いっぱなしの電話を無言で切ってやって、私は携帯をテーブルに置く。

 そして自分で奥に追いやった段ボールをもう一度引き寄せて、覚悟を決めてから蓋を開けた。

 何に使うのか皆目検討もつかない色んなものを掻き分けて、その勝負下着とやらを探す。

「・・・って、これかしら・・・」

 あるには、あったけど・・・。布、みたいなやつは。でもこれ―――――――――

「それ、何だ?」

 黙って私のやることを見ていたヤツが、ボソッと聞いた。

 私は情けない顔でそれをヤツの目の前に広げてやる。

「・・・・勝負下着、らしい・・・」

「―――――それが?」

「うん」

 布のきれっぱし、みたいなものを指差して言うヤツの声にも、呆れが入っているのが判った。

 だって、ねえ。これじゃ・・・。

「それで、一体どこを隠すんだ?」

「さあ?」

 ちょびーっとの布と、それに辛うじてついているって程度の頼りなーい、紐。

 ふけていく夏の夜、私達は、居間に広げた『大人のオモチャ』に囲まれて、困惑していた。

 まさか、自分の人生にこんなことが起こるとは、の、何回目かしら・・・・。


 いやはや、人生には、何が起こるか判らないものだって判った瞬間だった。





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