続・鉢植右から3番目
第2章 同窓会
1、人使いの天才
それから2週間は、ひたすら同窓会に出席するにはどんな格好をすればいいのかで頭を悩ませた。
こればかりは女性の永遠の悩みなのかもしれない。別にそんなに気負うことなどない、と判っているにも係わらず、そわそわとクローゼットを漁り、美容院も行くほうがいいのかな、などと考えたりした。
でも結局しなかった。だって、奈緒もくるんだし、もうなんなら二人で楽しくやって、懐かしい先生にでも挨拶が出来ればいいや~と思ったからだった。
そしてガッツリホテルディナーを食べて帰ること。立食だと悲しまず、あるものを有難く、そして美味しく頂こうと決めた。
もう遠慮なしで日中の気温がうなぎのぼりの7月中旬、土曜日。
午前中に家事も、ヤツを無理やり連れての買い物も終らせて、昼過ぎから私は支度をする。
シンプルな白いシャツ、それと足が綺麗に見えるスカート。赤とオレンジの花模様が大きくプリントされている、お気に入りだ。色が多少派手でもまだ許される年齢かと自分にオッケーを出す。
ヤツと連れ立って歩くことより、かなり着飾ってくるだろう奈緒の隣に立つことを考慮して選んだ派手目のアクセサリー。
服はシンプルで形の良いもの、アクセサリーは派手、メイクは控えめでも口紅はしっかりと。
鏡の中の自分はいつもよりは若返っていた。
「用意出来たー?」
最後の点検をしながら後ろに向かって叫ぶと、何とヤツはいつもの定位置で本を読んでいた。
ずっこけそうになるのを何とか堪えて声を飛ばす。