続・鉢植右から3番目
社会人でしょ、TPOは大事よ!そう言うと、だるそ~にハイハイ、と言われた。
くっそう!
そんなこんなで出発が若干遅れたけど、開始時間にはちゃんと間に合った。ホテルの広間前では沢山の大人たちがそこかしこで談笑している。結局今日はどれだけの人間が集まったのだろうか。
うちの高校は歴史ばかり古い地域では有名な伝統高校で、生徒数がバカみたいに多いのだ。
うちの学年でも9クラスあった。だから同じ高校の同じ学年といっても、半分くらいは知らない人達だ。
受付に行くと、確かに見覚えあるぞ、この人達、と思う元同級生が、大人になった姿でそこにいてニコニコと笑っていた。
「あ、兼田さんだー!久しぶりだね、放送委員一緒だった根元だよー!」
受付の女性にそう言われて、急激に高校生の時の記憶が頭の中で駆け巡る。
おおおー!!そう歓声を上げた私に、彼女はニコニコとして名札を手渡した。
「女性は旧姓をつけてね、でないと全然判らない人もいるのよ」
ちょっと笑える言葉だった。そんな変わるかな、15年ほどで。
実際に、委員が一緒だったこの根元さんは、メガネがなくて短かった前髪が長くなっているから、確かに印象は劇的に変わっていた。だけど愛嬌満点のくるんとした瞳や大きな笑顔は変わっていない。
挨拶が済んだところで、次の人に順番を譲って脇に退く。チラリと見ると、ヤツは淡々と男性受付をしていた。受付の男の子は「漆原だ!」と叫んでいたけど、それにもシレっとした顔を見せていた。
・・・・反応、薄いわ~・・・。